
矯正歯科コラム

歯を動かし、理想の歯並びを整えるために「1日22時間以上」のマウスピース装着が欠かせないインビザライン矯正。
1日22時間以上の装着が必要ですが、矯正に対するモチベーションの低下や、うっかりつけ忘れた…など、患者様によっては装着時間を守れず、時間が足りなくなってしまうこともあるかもしれません。
もしインビザラインの治療中にマウスピースの装着時間を守れず、装着時間が足りない状態が続くと、どのような悪影響が起こり得るのでしょうか?
患者様とお話ししていると、「マウスピースを外している間は、歯が動くのが一時停止しているだけ(サボった分だけ期間が延びるだけ)」と思われている方がとても多いです。
しかし、実はそれは大きな誤解です。装着時間が不足すると、治療が止まるだけでなく、以下のような恐ろしい悪影響が起こります。
矯正中の歯は、私たちが想像している以上に「元の位置に戻ろう」とする強い力を持っています。マウスピースを外した瞬間から、歯は一時停止するのではなく、前の位置に向かって猛スピードで巻き戻り(後戻り)を始めています。
「ちょっと外しているだけ」のつもりでも、せっかく動いた貯金がゼロ(あるいはマイナス)になってしまい、現在お使いのマウスピースがキツくなったり、入らなくなったりするのです。
装着時間が少し足りないまま次のマウスピース(アライナー)に進むと、見た目にははまっているように見えても、内部では「ほんのわずかなズレ(浮き)」が生じます。
この小さな遅れが積み重なると、最初はミリ単位だったズレがどんどん大きくなり、ある日突然、完全にマウスピースが合わなくなってしまいます。
【実際にクリニックである事例】
例えば、全40枚の計画のうち30枚目まで順調に進んでいた(ように見えた)患者様でも、日々の装着不足によるズレが蓄積した結果、ここから先は進めないと判断せざるを得ず、「追加のマウスピースがまた30枚必要になった」というケースがあります。
せっかくゴールが見えていたのに、スタート付近まで引き返すことになってしまうのです。
では、うっかり装着時間を忘れてしまった場合、どのくらいの時間(日数)であればリカバリーが可能なのでしょうか?ここからは、「装着が足りなかった時間・日数別」の対処法をご説明します。
※以下の対処方法は、必ずインビザラインの担当歯科医師の指示のもとで行ってください。
対処法:次回から、1日22時間以上の装着時間を徹底して守る
「うっかり外したまま数時間過ごしてしまった」「丸1日つけ忘れてしまった」という程度(24時間以内)であれば、すぐに次の日から22時間以上の装着を再開すれば、大きな悪影響は出ないことが多いです。
ただし、歯の動きやすさには個人差があります。わずかな時間でも「後戻り」が起きてマウスピースが浮くような感覚がある場合は、自己判断で次のステージに進まずにお知らせください。
対処法1:現在のマウスピースの装着日数を数日間「延長」する
2日以上装着しない期間があると、高確率で歯の後戻りが始まります。後戻りが比較的軽度で、マウスピースがなんとかはまる状態であれば、歯科医師の診断のもと、現在のステージのマウスピースの装着日数を数日間延ばすことで、本来の計画の軌道に修正できるケースがあります。
対処法2:マウスピースを「作り直す」(治療計画の修正・追加)
2日以上の放置によって後戻りが大きく進んでしまうと、現在お持ちのマウスピースが全くはまらなくなったり、無理にはめても激しい痛みを伴ったりします。この場合は、現在の歯並びにあわせて再度歯型を採り、マウスピースを作り直す(追加アライナーの作製)必要が出てきます。これにより、治療期間が数ヶ月単位で大幅に延びてしまいます。
インビザライン矯正を成功に導き、結果として「一番短期間で」美しい歯並びを手に入れるためには、毎日定められた装着時間をしっかり守ることが何よりの近道です。
治療が終わって綺麗になった歯並びで、思いっきり笑ったり、食事を楽しんだりするご自身の姿を想像してみてください。きっと、日々の努力が報われる瞬間が待っています。
白山歯科クリニックでは、インビザライン矯正を受けられるすべての患者様がモチベーションを保ち、安心して治療を続けられるよう、歯科医師・スタッフが一丸となってサポートいたします。「ついついつけ忘れてしまう…」といったお悩みや、マウスピースが浮いているような不安があれば、手遅れになる前にどうぞお気軽にご相談ください。
白山歯科クリニック院長
田賀 紀広
